工事の施工には、様々な分野のエキスパートが参加し、それぞれの役割を持っています。
足場・コンクリート・電気配線など枚挙に暇がありませんが、それぞれの作業は別々の業者が請け負うのが一般的。
なので、各業者が思い思いに作業してしまうと、現場は混乱してしまうでしょう。
今回は、現場の混乱を防ぎ、スムーズに工事が行えるよう統率する、施工管理技士とは何なのか紹介していきます。
1.施工管理とは?仕事の内容を紹介
施工管理技士とは、その名称の通り施工管理を行う専門家です。
施工管理とは、工事現場の施行をまとめて管理することです。
工事の現場には色々な業者が出入りするので、いつ誰が、どのような作業を行うかを決めておかないと、パニックになってしまいます。
そこで、具体的にスケジュールなどを決めて、施工の流れを管理するのが施工管理の主な役割です。
施工管理では作業の工程を計画するのはもちろんですが、他に品質や安全面の管理も欠かせません。
また、資金が不足しないように予算管理も行います。
このように多方面に気を配りつつ、各業者間の連携を取り持つため、施工管理の仕事は量も多いですし、高度な知識が要求されます。
そこで、国家資格を保有する「施工管理技士」が、この役割を担っているのです。
2.施工管理技士の概要
施工管理技士とは国家資格の一種です。一定の試験を受けて合格する必要があります。
実は、施工管理技士とは言っても多彩な種類がありますが、今回は、建築施工管理技士の制度について見ていきましょう。
現在は、建設業法第27条第1項によって建築施工管理技術検定が実施されています。
さらに、この資格は1級と2級が用意されていて、それぞれに1次試験・2次試験があります。
両方に合格すれば建築施工管理技士になりますが、1次試験の通過でも技術士補と呼ばれる資格を得られるのが特徴です。
1級と2級では携われる仕事に違いがあります。
まず、1級の方は仕事の幅が広く、建築から塗装、防水、解体工事などの多彩な作業に従事可能です。
2級の方は制約が付き、一部の作業に携わることはできません。
一般建設業営業所における専任技術者、主任技術者になることはできますが、1級なら更に監理技術者にもなれます。
このことから1級保有者は様々な現場で活躍しており、特に、大掛かりな工事を行う際には重要な資格と言えるでしょう。
なお、建築施工管理技士検定制度では、受験資格が設けられています。
このため、誰でも気軽に受験できるわけではありません。
指定された学校で一定の学科を履修したり、実務経験が必要になったりします。
試験内容はやや高度で、合格率は1級なら40%程度、2級はもう少し低くなります。
内容は1級の方が難しいのですが、2級の方は準備が足りないまま挑戦する受験生が多いようです。
なお、令和3年は記事執筆時点では結果は確定していないものの、1級の方は1次検定の合格率が36%と、かなり難易度の高いものとなっています。
前年度が50%を超えていたため、難易度を調整した結果と考えられるでしょう。
3.工事現場における施工管理技士の活躍
建設業法26条によって、工事現場では「監理技術者」や「主任技術者」の設置が求められています。
「監理技術者」は、自身が元請けとなって高額な費用が発生する工事を行う際に必要です。
「主任技術者」は建設業の許可を有する者が建設工事を行う際に求められます。
施工管理技士は、上記のように必ず設置すべきポストに就いて、現場のまとめ役を担うわけです。
このため、一定の知識やノウハウと共に、計画性の高さやコミュニケーションスキルなども大切と言われます。
まとめ
施工管理技士について紹介してきました。
施工管理技士とは工事現場では重要な役割を担い、工事知識以外にもコミュニケーション能力なども求められる存在です。
現在は業界の人手不足もあり、優秀な施工管理技士はそれだけ、貴重な存在でと言えるでしょう。