建築施工管理技士と建築士の違い
建設工事に欠かせない資格の中でも、建築施工管理技士と建築士は工事現場と密接な関係があります。
しかし、両者の資格は具体的にどのような違いがあるのか、よく知らない方が多いのではないでしょうか。
ここでは、建築施工管理技士と建築士の基礎知識を踏まえ、
仕事内容や業務範囲、求められる役割の違いについて解説します。
▶︎建築施工管理技士と建築士の仕事内容
建築施工管理技士と建築士の具体的な仕事内容、
監理技術者の扱い方、求められる役割の相違点について解説いたします。
仕事内容の違い
建築施工管理技士と建築士の仕事内容は、「建設現場の施工管理」または「設計」という違いがあります。
建築施工管理技士の仕事内容は先に紹介した通り、建設現場の4大管理が主な仕事です。
発注者の要望と安全規格を満たした建物を完成させるために、
発注者との打ち合わせや現場で作業する職人への指導監督、
事故予防の注意喚起、利益を残すための原価計算をおこないます。
一方、建築士における設計の仕事では、建設するための設計図書を作成します。
工事監理という仕事は、「設計図書の通りに工事が進められているか」、
「安全性に関わる規格を満たしているか」の2点をチェックすることです。
監理技術者として業務できる範囲の違い
監理技術者とは、施工計画や工程管理などの管理業務に加え、
工事に従事する職人の指導監督を担う重要な役割です。
1級建築施工管理技士が監理技術者として業務に携われる建設工事は、
建築一式工事や大工工事、屋根工事、左官工事など全17種類です。
また、施工管理も兼務できるため、1級建築施工管理技士は建設現場の管理におけるプロフェッショナルといえるでしょう。
一方、建築士が工事監理できる業務は、
「大工、屋根工事、タイル・レンガ・ブロック工事、鋼構造物、内装仕上工事」の6種類に限られます。
建築施工管理技士の17種類と比較しても、工事監理できる範囲がいかに少ないかがわかるでしょう。
つまり、設計できない建築施工管理技士と、工事監理が限られる建築士、両者の足りない部分を補っているのです。
求められる役割の違い
建築施工管理技士が担う役割は、建設現場の安全を守り、かつ工期と品質を守って工事を進めることです。
安全な建築物を完成させるためには、4大管理のどれか1つでも欠けてはなりません。
建築士と連携をとりつつ、職人と協力しながら工事を安全に進めることが建築施工管理技士に求められます。
一方、建築士は発注者の思い描く理想の建物を設計し、建物として完成させる役割があります。
ただし、建築基準法のルールに従う決まりがあり、安全性や強度などの基準を満たした建物を造らなければなりません。
発注者の要望を踏まえつつ、法に基づいた安全な設計をおこなうことが建築士の使命といえるでしょう。
▶︎建築施工管理技士と建築士は別の仕事と役割がある
建築施工管理技士は建設現場の4大管理を担い、
建築士は建物の設計・工事監理と、まったく別の仕事と役割があります。
監理技術者の業務に就けることは両者の共通点ですが、
建築施工管理技士は17種類、建築士は6種類と業務範囲に大きな差があります。
建築施工管理技士は工程や品質、安全などを管理し、
事故なく工期通りに建物を完成させることが主な役割です。
建築士は発注者の要望を踏まえながら、建築基準法を満たした建物の設計が求められます。
建築施工管理技士は施工管理、監理技術者、建築士は設計と、
できないことを補う形で連携をとるのが両者の関係です。
建設業界に興味がある方は、両者の違いを把握したうえで、自分の目指す方向性を決めるといいでしょう。
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